2011年07月17日

松本次郎 『熱帯のシトロン』

一見、雑にも見える線の荒い、独特な絵を描く。
一瞬、なんだこりゃって思う。でもページをめくっていくと
時々、はっとするほどに魅力的なタッチの絵が現れる。

『熱帯のシトロン』は少し古めかしい雰囲気に包まれている。
僕は1970年代には生まれていないから、実体験はないけれど
話に聞く、あの時代の雰囲気だ。

革命とか、テロとか、学生運動とかドラッグとか
ビートルズもボブ・マーリーもいて、
ともかく「目に見える闘争」があった時代

そして暑い。ひどく暑い。
埃っぽい1970年代じみた世界をそのまま熱帯に放り込んだようだ。
そんなじめじめのなかで、みんな争ったり結託したり、露骨に性交したりする。
それが非常に生々しいのである。

携帯電話もインターネットも、クーラーだってもろくにないような
アナログな世界観のなかで、ぶっ壊れた登場人物たちが躍動し、トチ狂った物語が進行していく。

nettai_no_sitoron.png

女性キャラが秀逸なんだぜ。
僕はこの人の描く女性キャラを愛してやまない。

『熱帯のシトロン』のヒロインである魔子は漫画であることを忘れるくらいに
魅力的で知的でセクシー。そしてとびっきりにかわいい。

知らぬ間に、匂いが漂ってくるような濃密な漫画だ。
まさに、熱帯の果実(シトロン)の腐むほどに熟れた、甘くてきつい匂い。

それに耐えうる方であれば、是非、お試しあれ。






posted by sandman at 10:17| Comment(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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